特定空き家の問題と負担の回避策とは?
「特例」ということばからは負担緩和が期待できます。
「特定」は一文字違いですが、様相が一変します。
特定空き家 「特定」する基準とは?
空き家が増えています。
総務省の統計では、空き家は全国で849万戸と住宅の13.6%です。
(住宅の1/7が空き家ということになります)
空き家という個人財産の対象としてとらえると、
財産の管理や相続の対象です。
一方、空き家を周囲を含めた環境問題というとらえ方もあります。
「特定空き家」問題はそういった意味で視野が広い見方です。
抽象的には特定空き家は以下に該当している空き家です。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適正な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
具体的な特定空き家の判断は各自治体行っています。
(「特定空き家 判定 判断」で検索)
たとえば、下記は埼玉県が示しているマニュアルの一部です。
特定空き家の判定基準をみると、それほど多くある印象はありません。
一方、統計的・巨視的にみれば特定空き家の多さがわかります。
特定空き家 負担が増える!?
自治体の調査の結果、特定空き家に指定された場合、
- 固定資産税が6倍になる!?
という負担が想定されます。
ことばを補うと、住宅には固定資産税の「特例」措置がとられています。
居住用の家屋や「空き家」であれば「特例」措置の対象です。
特定空き家と「勧告」されると、特例措置が受けられなくなるため、
結果的に固定資産税の負担額が増加するわけです。
さらに自治体からの「命令」に応じない場合、
最大50万円のペナルティが課せられます。
空き家が「特定」空き家と指定されることで負担が増加します。
特定空き家 負担の回避策とは?
空き家を「特定」空き家問題にしない回避策では、
売却と所得税の特例の利用があります。
(相続した空き家の処分と税金)
根本的な解決策ではありませんが、「特定」空き家化を回避する
という選択肢もあります。
ふるさと納税でもそうした需要を見込んだ「返礼品」があります。
私が住んでいる石川県では小松市がサービスを提供しています。
空き家の管理をすることで、「特定」空き家化を先送りできます。
また、相続放棄という選択肢もあります。
民法が改正され、2023年(令和5年)4月より相続放棄のルールが明確になりました。
改正民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
相続発生時に財産(家屋)を「現に占有している」場合でなければ、
相続放棄により管理義務を回避できることになります。
空き家であれ「特定」空き家であれ問題の解決への選択肢は複数あります。
とはいえ、拙速な決定が問題をこじらせる可能性もあります。
空き家がある場合には「特定」空き家化を回避しつつ
空き家の解消をすることになります。
中長期での空き家問題の解決には、空き家化以前からの検討がおすすめです。
相続には財産を享受できる面と負担の両面があります。
蛇足
アイキャッチ画像は石川県某所で撮影しました。
人里離れた場所ではなく、往来の盛んな住宅地での光景です。
今後も見かけることが多くなる光景かもしれません。
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