老老相続は世代交代を待たない!
相続人が課題を洗い出せるか?
四十、五十は洟垂れ小僧、
六十、七十は働き盛り、
九十になって迎えが来たら、
百まで待てと追い返せ
渋沢栄一(1840-1931)
21世紀の日本に相応しい名言です(笑)。
名言は尊重したいところですが、洟を垂れつつも
考えていく課題はあります。
老老相続 相続人・子が退職世代
地方紙の訃報欄を毎朝確認しています。
他意はなくとも、うっかり見逃しての不義理は避けたい
といったためです。
お亡くなりになった方の年齢が90代どころか100歳超
といったことも常態化しています。
高齢の御夫婦での「老老相続」もありふれています。
また、高齢者の配偶者の子でさえも退職世代の相続人
ということも珍しくはありません。
長寿社会を言祝ぎたいところですが、相続をめぐっては、
参考にできる前例を期待できない状況が続きます。
老老相続 課題が洗い出せるか?
「相続 問題」ということばから「相続税」・「遺産分割」
といった連想は定番です。
世間一般に知られた小説やドラマを持ち出すまでもありません(笑)。
老老相続でも上記の問題はついて回ります。
対応できるかどうか、折り合いがつくかどうかは別にして、
相続人にとっては予想の範疇の課題ともいえます。
他方、老老相続では上記以外にも、
- 相続人の認知症リスク
- 相続人の介護や生活面での不安の増加
- 相続後の財産管理が相対的に大きくなる
- 「数次相続」発生の可能性が高くなる
- 「代襲相続」発生も検討の対象となる etc
といった課題が追加となる可能性もあります。
相続人が高齢者であることを織り込んで対応することになりますが、
当事者の知識不足・認識不足から後手に回るかもしれません。
いわゆる一次相続の段階では相続人間の合意が成立しても、
次回の相続への配慮が充分ではないこともあります。
老老相続 世代交代を待たない
相続「税」の申告・納税や相続による不動産の登記は
義務とペナルティがあります。
皮肉ですが、義務やペナルティといった外圧があるので、
課題は見える化されます。
一方、老老相続により加わった課題は当事者であっても
見逃しがちかもしれません。
相続には世代交代の面もありますが、交代を待つ必然性はありません。
- 財産の確認
- 生前贈与の検討
- 遺言書の作成
- 家族信託の検討
- 相続税のシミュレーション(一次・ニ次) etc
検討できる対象は少なくありません。
お金の負担もさることながら、高齢者にとっては相続の対応は
検討も手続きも負担となります。
「老老相続」の対象になるかも?、と思い始めたときは、
相続対策のきっかけと言えます。
蛇足
「洟垂れ小僧」の表現がわかる世代が老老相続対象者かも?
と思ったりします。
21世紀生まれだと、「花粉症」を連想するかもしれません(笑)。
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