相続税と贈与税の税率や負担額の違いとは?
好意と仕組みの折り合いをつけていく!

親族、家族だからこそ相続や贈与の問題があります。

相続や贈与は税金の仕組みではつながっていますが、
一般的には分けてとらえがちかもしれません。

残念な思いが残らない折り合いをつけていく必要があります。

まつキクーン&百万石キクーン

相続と贈与 一日合同行政相談所に参加

税理士と縁のある役所といえば、税務署・国税局・国税庁です。

確定申告期であれば市役所などでの所得税申告の対応
といった光景も見られます。

総務省は地方税でのつながりがあるとはいっても、
普段は税理士とのつながりが強いとは言えません。

他方で、地域に密着した行政関連サービスと士業との接点があります。

9月~10月は「一日合同行政相談所」といった士業と行政による
臨時の相談イベントが全国で開催されています。
総務省が仕切り役です。

私も2024年(令和6年)10月に税理士として参加しました。

相談者の多くはあらかじめ下調べや資料を準備されていました。

他方、知識や理解でのつながりに誤解があり戸惑われる
といったケースもみられました。

たとえば、相続税と贈与税。

相続と贈与 税率の違いに驚く!?

相続税と贈与税は、税金の仕組みではつながっています。

財産を移転する側が存命であれば生前の「贈与」であり、
亡くなった相続開始以降は「相続」となります。

相続でも贈与でも財産を受け取った方が税金を申告・納税します。

合同行政相談所に来場された方の関心の強い分野でした。

贈与税の基礎控除額110万については把握済みでしたが、
一方で、贈与税の税率には驚かれるケースが目立ちました。

下記は贈与税の税率表です。

贈与額が大きくなるにつれて税率が高くなります。

相続税でも相続額が大きくなれば税率が高くなりますが、
贈与税とは大きな差があります。

10%~55%という税率は相続税でも贈与税でも使われていますが、
受け取る側での対応金額が大きく異なります

比較すると、贈与税は総則税に比べて税負担が大きい仕組みです。

相続税のみで課税しようとすると贈与で税負担が抜け落ちるため、
贈与税で歯止めをかける仕組みとなっています。

反面、デフォルト状態での相続・贈与税では資産の移転が停滞する
といった弊害があります。

相続と贈与 二者択一ではない折り合い

相談会場で、高齢の祖父母から孫に「こっそり」預金で贈与できないか?
といった問い合わせがありました。

お金の移動だけであれば、本人(孫)に内緒で預金することは可能です。

ただし、そうした贈与は、

  • 贈る側と受け取る側双方の合意がなく、
  • 受け取った側での管理の認識もなく、
  • 相続発生後は祖父母の「名義預金」扱いになり、
  • 想定外の相続税負担が生じる

といった残念な結果が予想されます。

贈与契約書の作成や受け取った側でのお金の管理を整える
という対策があります。

また、贈与税は高い税率が設定されているとはいえ、

  • 相続時精算課税制度
  • 教育・結婚・住宅資金の贈与の特例

といった負担を軽減する選択肢もあります。

贈与者と受贈者間での贈与税と資産の移転の折り合いをつける
柔軟な検討と選択がおすすめです。

 

蛇足
アイキャッチ画像は総務省の行政相談マスコットキャラクターの
「まつキクーン&百万石キクーン」です。
「キクーン」の前田利家とまつモデルの石川県バージョンのようです。
相談会場にはキクーンのぬいぐるみがありました。

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■林友範税理士事務所

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