製造コストの管理は青色申告からスタート!

「特典」以外の青色申告の魅力の紹介です。


珍しく主役

コスト管理 こんな決算書じゃない!?

確定申告の相談を受けていると相談者の意外な反応がみられます。

たとえば、「こんな決算書じゃない」という相談者の反応。

字面だけをみると、想定していた損益とのズレに対する反応
のように思えます。

想定外の反応された理由は損益の額ではなく、

  • 損益計算書の様式
  • 記載内容

というものでした。

確定申告で作成する損益計算書は横書きという特徴があります。

テキストや実務で扱われる損益計算書が縦書きなので
印象が異なります。

しかし、私が応対した相談者が違和感をもったのは、

  • 損益計算書をみても製造原価がわからない

という内容でした。

個人事業主として間もない、製造業で白色申告をされる方にとって
白色申告の収支内訳書はピンとこない構成だったようです。

収支内訳書は下記のようにシンプルな構成です。

大まかな構成は、収入・売上原価・経費です。

相談者が戸惑われたのは、

  • 製造コストと販売管理コストが混在している

と表現できます。

コスト管理 青色申告の片隅で活躍

白色申告と青色申告の違いは節税につながる「特典」にある
という理解が一般的です。

間違いではありませんが、特典だけをとりあげると
青色決算書のプラス面を見逃します。

青色決算書の損益計算書は以下の通りです。

売上原価の欄も白色申告の収支内訳書と変わりありません。

見逃しがちなのは、4ページ目の「製造原価の計算」です。
貸借対照表の右隣の片隅に掲載されています。

「製造原価の計算」の内訳は、

  • 原材料費
  • 労務費
  • その他製造経費
  • 製品製造原価の集計→損益計算書へ

といった構成です。

「製品原価の計算」末尾は損益計算書の「仕入」に転記されます。

商業簿記の中に製造コストを反映した商的工業簿記が
達成できる仕組みです。

製品原価の計算に製造コストが集約されることで、
販売管理コストと分けて損益計算書に計上できます。

損益に影響するコストの製販(製造と販売)分離を
損益計算書の表示上達成できる仕組みです。
(表示形式が変わるのであって、損益額は変わりません)

コスト管理 もっと会計に期待する!

確定申告での決算書は、

  • 申告書作成のための前座
  • 利益(所得)の確認に集中

という見方が大勢かもしれません。

その一方で、決算書は1年間の経営成績をまとめたデータです。

変化し続ける経営の実態をコンパクトな様式と数字で
サクッと一覧できます。

経営のデータを一覧できることで比較・分析が可能になります。

経営の成果を管理したり確認できる決算書には
もっと期待できる魅力があります。

決算書は領収書やレシートの集計用紙ではありません(笑)。

 

蛇足
簿記を勉強した頃、商的工業簿記は集計が多い
めんどくさい問題の一つでした(笑)。
しかし、経営のコスト管理を考慮している方を
目の当たりにすると印象が変わります。
地味でお堅い簿記ですが、需要に応じた仕組みがある
ことを実感できます。

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