税理士が心配性な理由 えいやっ!で実態は変えられない

豪快な税理士さんは例外です(たぶん(笑))。


雑然としていても、合理的な雪囲い用資材の配置。指先一つで配置換え不可です(笑)。

税理士は心配性 お得より損を心配

税理士試験に合格したとき、周りの方から尋ねられたのは「お得な情報」でした。

税理士という複雑な制度の専門家なら、何かしらお得な情報に通じているのではというのは人情です。

もちろん、そうした期待に応える情報もあります。

たとえば、ふるさと納税。
税負担を先取りすることで、返礼品をゲットできます。
制度の是非は政府の問題です。
確かにお得な制度なので、おすすめです。

お得な情報は耳目をひきますが、税理士のサービスとしてはおまけです。
ことばを補うと、知っていた方が得だけど、必要不可欠な情報ではないなーということです。

税理士が気がかりにするのは、損(失)です。
お金・時間・労力といった損失や経営者の不安に関心があります。

ちょっとした誤解や行き違いで修正できれば問題になりません。
昔風にいえば、鉛筆で書いたところを消しゴムでけして書き直すといったところです。

税理士は心配性 えいやっ!、で変えられない

机の上や指先一つで、えいやっ!と変えられることばかりではありません。

たとえば、私が以前関与したお客様と確定申告で打ち合わせをしていたときにそうした事態がありました。

事業が好調で、なんらかの節税対策が必要でした。

小規模企業共済が未加入でしたので、おすすめしました。
先方も乗り気で、満額(84万円/年)を想定して話を進めていました。

しかし、いよいよ加入の処理を進めようと準備していたところ、なぜか気乗り薄に・・・?

普段は2~3か月に一度しかお会いしない方だったのですが、不安になり再度打ち合わせ。

お客様の家庭の事情で急に支出が予想され、手持ちのお金の工面を懸念されていることがわかりました。

利益がでている→節税対策が必要→小規模企業共済未加入→加入で節税、は一般論として間違いではありません。

ただし、個別具体的な不安や負担に沿っているとは言い切れません。

税理士は心配性 意識合わせは欠かせない

上記のお客様は、節税をしつつ手元のお金も確保する必要があったわけです。

私はそうした事情を織り込んでの対策を再度検討しました。

当初の想定していた確定申告の着地見込みとは異なりましたが、納得をいただけました。

第三者が数字だけを見ていると腑に落ちない決算・申告だったかもしれません。

その一方で、お客様の不安や負担を減じることにはつながりました。

うっかり当初の節税重視で確認を怠っていたら、後々トラブルが炎上していたかもしれません。

お得な情報ほど目に見える楽しさには欠けますが、税理士は簡単に変えられないお金・時間・労力の損失を重視します。

ただし、そうしたときに税理士が勝手に措置をとることも暴論です。

お得な情報も損失の回避しろ、税理士とお客様での選択した理由の意識合わせは欠かせません。

 

蛇足
今回の記事での「税理士」は「私」と書こうかなと予定していました。
とはいえ、業界の中の人として税理士全般での記述が相応かと考え直しました。

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