相続手続きの○○義務と期限が加わりますがご存知ですか?
メジャーな手続きでも義務や期限がなかったものもあるんですね。
相続の義務と期限追加 メジャーな申告期限
「義務」・「申告」・「期限」といったことばが並ぶと、
楽しそうな雰囲気ではありません。
上記にのことばに加えて「税金」とくれば…(笑)。
ネガティブな印象が思い浮かぶのは、そうしたことばに反すると
ペナルティが予想されるからです。
たとえば、所得税の確定申告。
申告期限の3月15日を過ぎてしまうと、
- 青色申告65万円の控除が受けられない
- 延滞税や無申告加算税の負担がある
- 損失の繰越控除が利用できない
- 振替納税が利用できない
といった納税者側へのダメージ・ペナルティとなります。
申告納税制度では、申告納税の義務と期限があります。
相続税の手続きでは、相続の開始を知った日の翌日から
- 相続放棄・限定承認:(開始を知ったときから)3か月以内
- 準確定申告:4か月以内
- 相続税の申告:10か月以内
と期限が決まっています。
期限がはっきりしている手続きがある一方で、
義務や期限がない手続きもあります。
意外ですが「登記」です。
相続の義務と期限追加 義務も期限も無し!?
相続されるなかでも預貯金と並んでメジャーな資産が
不動産です。
日常的に一般人が取引するイメージのない不動産ですが、
不動産には登記が必要という印象が強いと思います。
しかし、現状相続による不動産には登記の義務や期限はありません。
意外な印象かもしれません。
義務や期限がないというと、なんだかホッとします(笑)。
とはいえ、「(笑)」にならない問題もあります。
所有者不明の土地の増加です。
相続の義務と期限追加 まだ時間がある?
相続した土地を政府に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属法」は
以前紹介しました。
(相続土地国庫帰属法のねらいって何でしたっけ?)
国庫帰属法も所有者不明の土地問題対策でした。
同じ文脈で相続した土地の登記も2024年(令和6年)4月1日より義務化されます。
登記が義務化されたことで、
- 相続したことを知った日から3年以内
と期限も設けられました。
予想できそうですが、登記しなかった場合には
- 10万円以下の過料
とペナルティもあります。
登記の義務化は制度開始以前に相続した不動産も対象です。
さらに2026年からは「氏名・住所の変更登記の申請の義務化」も
スタートされる予定です。
不動産登記の義務化や期限・ペナルティが強まる傾向です。
まだまだ先のことと思いたいところですが、
相続や不動産をめぐる問題は手続きや解決に
時間を要する可能性もあります。
不動産の登記の現状を確認しておくことも
近い将来への備えになるかもしれません。
蛇足
国交省の推計(H28年度地籍調査)
なんだか現実感のない数字です(笑)。
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