消費税の簡易課税制度だから楽ばかりか?

うまくて甘い話ばっかりじゃないよ、
というみえみえのタイトルですね(笑)。


うまくて甘い「秋の宝達(ほうだつ)」(森八・金沢市)

簡易楽楽 負担の軽減は魅力

どんな業界にもセールストークがあります。

税務会計業界でわかりやすい例は「節税になります」(笑)。

節税の提案が長期的には課税の繰り延べ(先送り)であっても、
短期的には節税効果があるケースもあります。

節税と同じようなセールストーク(甘言?)では
「負担の軽減」というフレーズもあります。

税金、お金という取り扱う対象が責任や負担とつながるので、
「負担の軽減」には魅力を感じます。

とはいえ、負担の軽減の内容は知っておいた方が良いはずです。

すべてについて負担減という話はうますぎます。

たとえば、消費税の簡易課税制度。

簡易楽楽 負担のなかみ

売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。

消費税の納税額は原理的には、取引での消費税の預かり額
となります。

しかし、経理での帳簿作成では、

  • 消費税の対象と対象外
  • 税率区分

を取引ごとに確認する必要があります。

消費税がない場合の記帳であれば、

  • 日付
  • 金額
  • 相手先
  • 勘定科目
  • 取引内容(摘要(てきよう))

だったわけなので、処理の負担が増えます。

売上高が5,000万円以下であれば「簡易課税制度」の
選択肢があります。

簡易課税制度では、売上高を基準にして消費税の納税額を
計算できます。

また、事業者によっては簡易課税制度をとることで
原則課税よりも納税の負担額が減る可能性もあります。

つまり、消費税の簡易課税制度では、

  • 経理処理の負担

での負担軽減があります。

ケースバイケースですが、簡易課税制度による

  • 消費税の納税の負担

が減る可能性があります。

一見すると、簡易課税制度による負担の軽減には
問題がなさそうです。

しかし、実際の簡易課税制度を利用している方では
負担の軽減と感じている方は多くありません。

簡易課税制度での負担の軽減は、原則課税と比較しての
処理や納税額の負担の軽減です。

消費税を納税する事業者が原則課税と簡易課税との比較を
想定していないなら、負担の軽減もピンときません。

また、免税事業者から課税事業者になった場合には
消費税の納税が新たな負担と感じるはずです。

簡易楽楽 毎月のチェック

所得税や法人税の負担は、収入と経費から直感的に
把握しやすい印象があります。

これに対して、消費税の負担額は直感的にはわかりにくい
印象があります。

とはいえ、消費税の納税に対する負担額の見通しをつける
手段はあります。

毎月の経理処理と確認、月次決算です。

毎月のチェックを続けることで、負担の見える化に有効です。

一見すると、月次決算は経理処理の負担増ですが、
資金繰りからみると不安の軽減につながります。

売上高のステージが変わると負担や不安の内容も変わります。

経理の仕組みを変える検討がおすすめです。

 

蛇足
売上が大きくなっていけば所得税や事業税の負担も増えます。

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