農地の税負担は農地バンクで回避か!?
固定資産税・相続税・所得税と中長期の視点
2025年(令和7年)は米の価格上昇が続いています。
農地の見方もこれまでに比べると変わるかもしれません。
一方、税負担となると…、依然として悩ましそうです。
農地バンク 放棄スキーム!?
税金の相談会というと冬の確定申告会場が連想されますが、
秋にもなんやかんやと開催されています。
税理士会が主催する相談会もあれば、他の士業との合同相談会
と対応する相談内容にもちがいがあります。
司法書士との合同相談会では登記や相続関連での相談が目立ちます。
私の活動している石川県加賀地方では「農地」の相談が目立ちます。
相談者があらかじめ想定された計画の検討を求められる
といったこともありますが、必ずしも期待に沿えるとは言えません
たとえば、しっかり資料を準備して来場される相談者ではあっても、
- まず、不要な農地を放棄してから相続を考えます…
という前提のスキームを示されるとアタマを抱えます…
農地バンク 固定資産税も相続税、所得税も!?
不要な財産、換金性の期待できない財産を相続したくはありません。
とはいえ、そうした当事者の問題と関係なく相続税法があります。
農地は耕作によって経済的価値を産み出す土地です。
放っておけば、相続税だけでなく毎年tの固定資産税の負担が続きます。
耕作放棄によって荒廃すると、固定資産税負担が追加される
といった点も無視できません。
(固定資産税の評価額が1.8倍になる可能性があります)
「農地バンク」の利用は農地の税負担回避の選択肢となります。
農地バンクは都道府県に設置された「農地中間管理機構」です。
農地バンクに登録して農地を貸し出すことで固定資産税や相続税、
所得税の軽減措置が期待できます。
- 固定資産税の負担を以下の期間1/2に軽減
- 10年以上15年未満の期間で貸し付けた場合 → 3年間
- 15年以上の期間で貸し付けた場合 → 5年間
- 相続税の評価額で5%軽減
- 農地バンクに農地を売却した際に所得税が軽減
- 1,500万円の特別控除により譲渡所得を算出
農地バンク 中長期の視点で検討
土地の取り扱いでは、所有や売却、貸出だけではなく、
相続放棄・「相続土地国庫帰属制度」も選択肢です。
一方、すべての選択肢が当事者の判断だけで利用できる
というわけではありません。
農地は利用・売却で制約のある土地です。
土地の取り扱いは登記と税金が関連することもあり、
司法書士・税理士との連携が有効になります。
農地の相続がある場合には、農地バンクの利用に限らず
中長期の視点での検討がおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像は牛の置物と「おもちゃカボチャ」です。
おもちゃカボチャは毎年実家町内のご近所さんからいただきます。
牛の置物もおもちゃカボチャも観賞限定ですね(笑)。
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