相続税の算段が本末転倒になる理由とは?
残念な逆算を避ける!
「ゴールから逆算」は仕事術の基本です。
締め切りや予算の制約を計画に織り込んでおけば
後で困ることを減らせます。
とはいえ、何でもかんでも逆算で良しとは限りません。
本末転倒な算段 話が噛み合わない?
税務会計はお金が関連する分野なので関心は集まりますが、
専門用語やいろいろな仕組みが錯綜する分野です。
税理士なので税務相談の機会は多いのですが、
話が噛み合わないこともよくあります。
事業経営の相談では下記のような誤解があります。
- 銀行に返済したお金がどうして経費にならないのか?
- 借入しても収入で課税されませんよね?
- うちはゲンキン主義で売上計上や!
- 税務会計では現金主義は例外です
- 発生主義で計上する必要があります
- 30万円未満のパソコンなのに一挙に経費にできないの?
- 少額減価償却資産は青色申告の特典です
- 白色申告では不可です
事業経営だからこそ噛み合わないという面もありますが、
相続税でも噛み合わない話は出てきます。
本末転倒な算段 順当だからこその安全策
相続が開始となった後で相続税の申告や納税が必要と判明
という方は少なくありません。
相続税の申告や納税の機会は積極的に経験できないので不安が募ります。
申告手続きよりも納税の不安が強まります。
相続税の順当な算出は、
- 相続人の確定 → 基礎控除額決定
- 相続財産と債務の確定
- 上記より相続税総額を計算
- 相続人間での分割協議
- 分割協議に基づく税負担額の確定
といった展開となります。
(相続税をストレートに返答できない理由とは?)
下記の図が参考となります。
相続開始から10か月以内に申告書を分割協議書とセットで提出で
小規模宅地の評価減や配偶者の税額控除が可能となります。
「争族」などの問題を別にして、順当な相続が進められれば、
漠然とした曖昧な不安はなくなります。
一方で、許容できる納税額を念頭に相続税の算段を始めると
相続税の対応が遅れがち、億劫になりがちになります。
相続税の財産評価や贈与を網羅的に調べる必要があっても、
対応が鈍りがちになります。
本末転倒な算段 逆算を避ける対策とは?
事業経営の相談で話が噛み合わない背景には、
- 簿記や税法の知識や理解が乏しい
- 利用できる制度を誤解している
といったことが目立ちます。
相続税でも同じような展開がありますが、相続税特有の事情もあります。
相続税の申告・納税は相続開始後に相続人が行いますが、
あらかじめ準備ができているとは言えません。
相続人となることは想定できていても、相続税の申告・納税は想定外
となっているかもしれません。
相続税の申告・納税には相続開始から10か月と時間はあります。
一方で、誤解や知識・理解が不足していると話が噛み合わない
残念な事態もありえます。
生前からの相続対策はおすすめです。
それとは別にして、正確な制度の知識や理解の補充もおすすめです。
話が噛み合わないことでの本末転倒な展開を避けられます。
蛇足
相続や贈与はマスメディアでも取り上げられやすいので
断片的な情報には不自由しないかもしれません。
反面、肝心の相続税の全体の仕組みを確認していないと
残念な判断に気づかないまま時間が過ぎていきそうです。
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