法人成りすれば確定申告の深みから脱却できるか?
メリット・デメリット、共通点
目前の課題と締め切りにゲンナリしてくると、
つい目をそらしてしまいます。
見つめた先がバラ色の選択とは限りません。
一息入れつつ現状を整理がおすすめです。
法人成りすれば!? 目をそらしたくなる?
「3月15日」という日付にゲンナリする方がおられます。
たとえば、確定申告の処理に追われている個人事業主。
あるいは、申告手続きは完了したが、納税で気が重くなっている経営者。
経営が順調、上向きであるからこその悩みもあります。
「法人成り」はそうした個人事業主には福音かもしれません。
法人成りは確定申告での倦怠感を払拭できそうな選択です。
とはいえ、法人成りが誰にとっても有効な選択肢とはいえません。
個人事業にとどまるメリットも確認することがおすすめです。
法人成りすれば!? 個人事業は残念なのか?
法人成りのメリットは多々あります。
- 各種の節税対策
- 赤字の繰越
- 社会的信用
- 決算期の変更 etc
消費税のインボイス制度が開始されたため、法人成りによる免税事業化
といった発想は考慮外となりました。
とはいえ、法人成りによるメリットには魅力があります。
反面、法人成りのデメリット・個人事業のメリットもあります。
- 赤字であれば事業所得での税負担無し ⇔ 法人なら均等割
- 従業員5人未満ならば社会保険非加入も可能 ⇔ 法人は加入が義務
- 税務申告の負担に選択肢がある ⇔ 法人には無し etc
社会保険は毎月負担が発生します。
法人成りの節税効果にばかり注目すると誤算となります。
個人事業の税務申告がカンタンとは言いません。
他方、個人事業では白色申告・青色申告(簡易簿記)といった選択ができます。
青色申告(複式簿記)の決算書といってもA4用紙4枚分に収まります。
申告書についても個人所得税の申告書は法人税に比べてグッと簡潔です。
「確定申告書等作成コーナー」といった行政サービスも利用できます。
個人事業を選択することが残念な選択ではない面も確認する必要があります。
法人成りすれば!? 個人でも法人でも!
個人事業にも法人経営にもメリットもあれば、そうでない面もあります。
個人事業であっても法人経営であっても経営判断は経営者の仕事です。
- 営業・販売
- 製造
- 投資・開発
- 広告・宣伝
- 人事・採用・労務管理
- 経理・資金繰り etc
経理処理、税務会計処理は個人事業では簡易簿記も選択できますが、
法人経営では事実上複式簿記一択です。
損益計算書だけでなく、貸借対照表、税務申告書とのおつきあいは
法人経営ではグッと負担を感じるはずです。
法人成りは経営判断の一つとして有効です。
他方で、法人成りが個人事業での確定申告に当たる処理からの解放
という見方は誤解です。
個人事業であれ法人経営であれ、経営者には経営の責任がともないます。
オーナー経営者だからといっても、「個人」と「法人」は分かれます。
「法人」だからこそ要求される会計処理の水準があります。
経営の税務会計上の処理の負担を経営者だけで担う必然性はありません。
税理士への依頼は外部のサポーターとして選択の余地があります。
蛇足
アイキャッチ画像は栗むし羊羹です。
手前は栗入り、奥はくるみ入りです。
くるみ入りは白山比咩神社(石川県白山市)の奉納菓子だそうです。
むし羊羹なのでくるみとも合う食感です。
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