税金の不服申立ってちゃんと検討してくれてるのか? 「公表裁決事例集」とは?
クレーム・文句・批判が悪いわけじゃありません。
言いっ放しじゃなく、「裁決」までお付き合いをおすすめです。。
フェンスに絡まり、服にくっつく秋の風物詩
裁決事例 ○○と聞いたことがある…、ではなく
税理士が遭遇する場面では、
- ○○と聞いたことがある
- □▲さんが言っていた etc.
といった相談者からの根拠の主張が「あるある」です。
税金の負担を減らしたいという相談者にとって、
主張の根拠を見出したい気持ちは無視できません。
一方、税金の仕組みは法律(税法)で裏付けられています。
「無法」な主張はかえって納税者を不利に追い込みます。
まずは法律でのルールを確認という展開が定石です。
とはいえ、それでも見解の相違が埋まらないケースもあります。
課税処分への不服があるなら、「不服申立制度」により
国税不服審判所へ申し出ることになります。
(税務調査は紛争の入り口です 不服申立制度とその結果)
不服申立による統計上の結果も公表されていますが、
「公表裁決事例」もあります。
裁決事例 もっと身近な事例
法律の勉強すると、「○○判例百選」といった定番のテキストがあります。
(「○○」には「租税」など法律名や分類が入ります)
「判例百選」は株式会社有斐閣より出版されている判例集です。
(判例集とは裁判の記録に解説を加えた事例集です)
たとえば、「サラリーマン税金訴訟」の判例も収録されています。
判例百選は有名な事例を知る上で有効なテキストです。
反面、判例百選だけでは、
- 収録事例が少ない
- 裁判に至った事例に偏る
といった限界があります。
国税不服審判所の「公表裁決事例」がもっと身近な例として参考になります。
「公表裁決事例要旨」で対象とされた税金が一望できます。
「所得税」のなかみは以下の通り詳細に事例が分けられています。
具体的な要旨は以下の通りシンプルです。
平成4年以降の要旨には事例集へのリンクが貼られています。
下記が裁決となります。
当事者の氏名や組織名は掲載されていませんが、グッとリアルな内容です。
裁決の形式は、
- 事実
- 争点
- 争点についての主張
- 当審判所の判断
といった構成がとられています。
「3.争点についての主張」では原処分庁(税務署)と請求人(納税者)を
主張や争点ごとに対比させて明示しています。
「4.当審判所の判断」では、
- 法令解釈
- 認定事実
- 当てはめ
- 請求人の主張について
- 原処分庁の主張について
- 結論
と示されます。
(事例により構成に違いはあります)
どの事例をみても、圧迫感のある印象です(笑)。
裁決事例 税金のお守り
裁決事例をみると、請求人(納税者)の主張が認められるのは
容易ではないことがわかります。
同時に、国税不服審判所による検討が詳細に行われている
ということも印象に残ります。
言い換えれば、課税処分に対する不服申立には、
充分な根拠と準備が必要と実感できます。
また、裁決事例を参考にすることでトラブルを予防できる
といった見方も可能です。
「公表裁決事例」は税金トラブルのお守りになりそうです。
蛇足
公表裁決事例は検索も可能です。
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