真っ当な納税者が「査察の概要」を読む意義とは?
自動車免許にあるアレを補う!
税金の申告・納税は義務のはずですが、「講習」はありません。
適切な手続きのために知識や理解を補っていくことも大切ですが、
極端な事例を眺めることもおすすめです。
令和5年度版の国税庁「査察の概要」をとりあげてみます。
講習の自習 無縁だからスルー?
役所の資料に楽しい印象は少ないかもしれません。
固定資産税や住民税の納税通知書などの必要最小限以外は
時間をかけて読むことは少ないはずです。
淡々とした記述、実感のない数字の並ぶ統計資料は、
重要であっても興味が湧きません。
とはいえ、例外はあります。
たとえば、国税庁が毎年6月に公表する「査察の概要」。
ダークな世界に無縁だからこそ、興味本位で読むことができます。
講習の自習 流行りと定番を押さえる
「査察の概要」は税務署による通常の税務調査ではなく、
国税庁・国税局による「査察調査」の報告です。
令和5年度では、告発件数101件、脱税総額89億円が対象でした。
告発件数は限られていますが、1件あたりの脱税金額が大きく、
課税当局が重点事案としてとりあげている点が見逃せません。
「査察の概要」では令和5年度だからこそとりあげた事案とともに、
定番の事案もとりあげられています。
たとえば、消費税の事案。
令和5年(2023年)は消費税インボイス制度が始まりました。
免税事業者から課税事業者に移行した事業者が大幅に増加しました。
(インボイス制度導入は空騒ぎだったのか?)
「査察の概要」では消費税の不正還付を重点的にとりあげています。
脱税でも流行りがあり、下記はそうした例です。
情報商材や特定の地域、特定の業界を対象とした調査が紹介されています。
他方、流行り廃れとは関係なく、定番の残念な事例も紹介されています。
査察の情報収集では、いわゆるタレコミだけでなく、SNSへの投稿も
情報源として使われているようです。
不正による「裏金」の行き着く先は今も昔も変わらないようです。
「裏金」の隠し場所も紹介されています。
前世紀から変化の無さに驚かされます(笑)。
「マルサの女」は皮肉な形で不朽の名作といえます。
講習の自習 更新がないからこそ読む!
自動車の運転は「免許制」のため、「更新」や「講習」があります。
講習では悲惨な事故の動画を視聴することになります。
ゴールド免許で講習に臨むと、隔たりを感じる動画内容です。
とはいえ、交通事故の具体的な事例を知っておくことは、
安全運転を喚起する効果があります。
事故を他人事として客観視できるからこそ距離を置ける
といった心境にもなれます。
「査察の概要」を読んで震え上がることはないはずです。
ないはずです(笑)。
客観的・冷静に「査察の概要」を読める状況だからこそ、
申告・申告への注意喚起となります。
熟読は不要ですが、「査察の概要」を一読してみると、
申告・納税のセルフ講習につながります。
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蛇足
アイキャッチ画像は「アベリア」です。
街路樹で見かけることが多い花です。
和名は「ハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)」だそうです。
名称の違いで印象が変わりますね。
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