消費税の免税制度で前進するか、つまづくか?
残念な取引にはご注意!
「税金」と一括りにされると税務相談で混乱します(笑)。
消費税の「免税」もややこしい専門用語かもしれません。
税金の仕組みだけの問題とは言えないので注目されます。
消費税の免税 インボイス開始で後退?
2023年(令和5年)10月より消費税インボイス制度が開始されました。
制度の導入時に課題となったことの一つが「免税事業者」の取り扱いです。
消費税の納税額は、
- 納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
といった計算を行うため、課税事業者にとっては、
- 「支払った消費税」にはインボイス登録番号の記載が必要
- インボイス登録番号は課税事業者のみ発行可能
と免税事業者との取引に消極的となる仕組みです。
売上高1,000万円以下の免税事業者にとってもインボイス制度は
支障となる可能性がありました。
免税事業者から課税事業者となった場合の「2割特例」は
インボイス制度導入を支えたわけです。
インボイス制度下では課税事業者を選択する理由が強まり、
免税事業者でいることのメリットは後退しました。
消費税の免税 新幹線・円安で前進!
消費税制度ではややこしいことに取引でも「免税」が登場します。
たとえば、輸出企業が行なう取引。
国内での消費とつながらない取引なので消費税が「免税」となり、
取引分の消費税が還付の対象となります。
あるいは、外国人観光客向けの免税取引。
日本で購入した物品への消費税を免税される仕組みがあります。
消費税の課税事業者が税務署に「一般型輸出物品販売場」の許可を申請すると、
消費税を免税とする取引が行えます。
私の住んでいる石川県は北陸新幹線の開業・延長や円安により
外国人観光客が増加傾向です。
石川県内での免税取扱店は急速に増加しています。
- 2014年29店 → 2024年615店 30倍!
インバウンド効果を逃さないために免税制度は無視できません。
消費税の免税 残念な取引は回避!
消費税は制度の概要だけをみるならシンプルな印象です。
一方、実務上はトラブルの巣窟のような税目です(笑)。
消費税の免税取引では「転売」目的での行為があります。
観光客を装ってお土産として免税により購入した物品を
事業者に転売する行為です。
転売に関わる事業者にとっては消費税分の支払いがない
といった不公平な取引となります。
制度の想定外の利用→抜け穴対策と消費税複雑化フラグが
みえてきそうな展開です(笑)。
案の定、2024年(令和6年)4月より、
- 免税購入品と知っていた場合、仕入れ税額控除は不可!
といった制度が加わっています。
インバウンドも免税制度もビジネスチャンスにつながりますが、
残念な取引とは距離を置く必要があります。
蛇足
アイキャッチ画像は顧問先でいただいた「はちみつおかき煎」です。
お菓子のサイズが小さくなる昨今では珍しい大判です。
サクサクっといただきました。
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