試算表を早く出すための対策とは?
早い数字が欲しい!は金融機関のためか?
定番の問題に直面している当事者といっても、
本人がピンとキていないこともあります。
正面切って言われないから、問題に気づかないだけかも!?
早い数字 新年の情報交換
毎年ですが、新年1月からは税理士だけでなく税理士会でも
活動が盛んになります。
2月からの確定申告での税務相談・税務支援の準備が進みます。
私の所属している税理士会の支部では1月に地域金融機関との
新年賀詞交歓会もあります。
飲食は無く(笑)、お菓子のお土産のみでの情報交換が行われます。
金融機関の支店長複数名や幹部職員から現状の融資状況が示されます。
金融機関側から積極的な融資対応が示されると心強い一方、
幹部職員からの苦言もありました。
- 遅い数字ではなぁ、数字は早くないと!
字面だけをみると、なんのこっちゃ?となりそうです(笑)。
早い数字 遅い原因と定石の対策
金融機関が積極的な融資対応をするといっても根拠は必要です。
年に一度作成される決算書であれば、税務申告との関連もあり
基本的に遅れはありません。
期中であれば「試算表(しさんひょう)」で経営状況を示します。
試算表は金融機関にとっても途中経過を知る根拠となります。
会計ソフトを使っていれば、特別な処理をすることもなく、
試算表は自動的に出力されます。
問題は「会計ソフトを使っていれば」の内容です。
パソコンにソフトをインストールしただけ、クラウド会計に課金のみ
といった状況ではソフトを使っているとはいえません。
- 未入力や数か月分まとめて入力
- データの網羅性や連携が不十分
- 現預金の入出金のみの入力
- 借方・貸方って何?(笑) etc
会計ソフトは入力が済んでいれば、試算表も決算書も作れます。
反面、会計ソフトの使用状況がグダグダではパッとしません。
試算表の作成が遅れるだけでなく、正確性にも欠けます。
対策は目新しいものではありません。
- 資料やデータを整理しておく
- 毎月ごとのファイリング、データの格納
- クラウドストレージも利用
- ソフトへの入力の効率化
- 仕訳入力のルーティン化、辞書登録等
- データの取り込み、インポート
- 毎月の処理の期限設定、スケジュール管理
- 翌月◯日まで!
- チェックリストの利用
試算表を遅れずに作成できる状況は望ましいのですが、
誰にとってプラスか?といった視点が欠かせません。
早い数字 誰のための試算表か?
試算表を融資、金融機関のためだけに作成しようとすると
モチベーションアップには物足りません。
試算表は本来、決算以前に経営の状況を把握するために作成します。
最優先の作成対象は経営者です。
毎月ごとの経営の確認、「月次決算」で試算表を使います。
本決算と同じように、現金主義ではなく発生主義で計上して、
棚卸・減価償却費なども計上します。
融資対応、資金繰りは経営上の重要な課題ですが、
経営の実態がわかっていることが前提です。
数字は早くないと!は経営者のための目線が優先です。
税理士のサポートは決算・申告段階だけでなく、期中にもおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像は雪吊がされた寒椿です。
雪国・石川県らしい冬の光景です。
名勝「兼六園(金沢市)」ではなく、事務所側で撮影しました。
風情を感じる程度の積雪にとどまることを祈るのみです。
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