災害発生後の事業継続と雇用調整助成金
令和6年能登半島地震と特例措置
人類史でも稀な事態が数年間で発生しています。
セーフティネットの変化の確認も必要になります。
災害と雇用 人類史的な事態
「異例」や「異常」といった表現は大げさな印象があります。
表現したい気持ちが先走りすぎていて、かえって印象に残りません。
一方で、2020年(令和2年)から始まった新型コロナウイルス感染や
2024年(令和6年)1月の「令和6年能登半島地震」には当てはまります。
コロナ禍も能登半島地震も、通常の人生では収まりきらない事態です。
個々の備えだけではどうにもならない現実がつきつけられました。
関連者全体をカバーする「セーフティネット」がなければ、
目処がつかない事態とも言えます。
事業経営では「ヒト・モノ・カネ」が必要です。
「雇用調整助成金」は非常事態での雇用のセーフティネット
として活用できる仕組みです。
災害と雇用 雇用調整助成金の特例
雇用調整助成金は経済上の理由で事業を縮小せざるを得ない場合に、
雇用維持を図る事業主を支援する仕組みです。
受給要件を満たした場合に助成金を受け取ることができます。
コロナ禍での雇用維持のために幅広く利用されました。
令和6年能登半島地震は道路・電気・水道といったインフラ被害も大きく、
事業環境が激変しました。
企業の設備への被害も大きく、事業再開には大きな負担がともないます。
雇用調整助成金の実施においても「特例」措置がとられることになりました。
特例措置としては下記の2点が重要です。
- 受給要件の緩和
- 計画届の事後提出が可能
受給要件の緩和では以下の3点が対象です。
売上高や雇用人数、事業期間の要件が緩和されています。
通常であれば事前に提出する必要のある計画届を事後的に提出して、
令和6年1月1日から遡って助成対象となります。
大災害に対応した雇用調整助成金の特例措置が現れています。
特例は広範な事業者に対するスピード重視の措置と言えます。
以下は特例措置の留意点となります。
- 令和6年1月1日から令和6年6月30日の間に開始した休業等又は出向が対象
- 助成率・日額上限額・支給限度日数等は変更なし
災害と雇用 コロナ禍は反面教師
事業環境の激変に雇用調整助成金の利用で事業継続を図る選択肢があります。
雇用の確保も手元資金の確保も事業継続に必要です。
一方で、コロナ禍では雇用調整助成金の負の側面も出てきました。
不正受給です。
令和6年能登半島地震に対する雇用調整助成金の特例措置は
事業継続上の無視できない選択肢です。
受給要件の緩和などの弾力的な運用により事業者の負担を緩和できます。
反面、誤った受給の可能性も拡がります。
コロナ禍での不正受給がかえって事業継続に支障となった
といった問題が反面教師となります。
雇用調整助成金の適正かつ早期の活用が重要となります。
蛇足
2024年1月上旬の石川県は例年に比べて雪は少なめです。
それでも雪は降り、凍結する日もあります。
能登地方では近年冬の凍結により水道管の破損事故が続いています。
冬の寒さもインフラへの障害の原因となります。
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