税務調査でのAI活用は脅威なのか?
令和6事務年度法人税等の調査事績の概要
2025年(令和7年)税務調査でのオンライン対応導入が
税理士界隈をざわつかせています。
次はAIによる税務行政への影響かな?と想っていたところ、
さらっと当局より報告資料が公表されました。
予想していても気になる内容ですね。

税務調査とAI こちらでもあちらでも業務改善
2025年(令和7年)はAIの進展が目立った年でした。
特定の生成AIや活用分野での発展が著しかったのではなく、
AIの開発も利用も全面に渡って進展した印象です。
私が活動している税理士業界でもAIの利用やセミナーは
活況を呈しています。
税務行政でもAIの利活用が進んでいるようです。
「令和6事務年度法人税等の調査事績の概要」では
AIを活用した言及が見られるようになりました。
税務調査とAI 調査事績への影響は?
「調査事績の概要」の冒頭にAIの活用が言及されています。
追徴税額も近年では最高額だったことも注目に値します。
税務調査におけるAIの活用では不正検出への利用があるようです。
予測モデルやどのようなデータの利用だったか詳細は不明ですが、
AIによるデータ処理が貢献していることが確認できます。
人海戦術では大量のデータの取り扱いに限界があったことが
過去の話になりそうです。
他方、調査により把握された不正の手口には目新しさはありません。
不正の手口は、
- 売上の除外
- 架空・過大経費の計上
と従来通りの2大タブーにまとめられます。
税務調査とAI 従来通りの対応で!
「調査事績の概要」には上記以外にも消費税の不正還付や海外取引
といった言及もあります。
不正業種のワーストランキングも公開されています。
法人税等は事業経営を反映するので税務調査でも毎年変化はあります。
一方で、税務調査にAIを活用したことによる顕著な不正への変化は
「調査事績の概要」をみる限りないようです。
不正の手口に変化がない一方で追徴税額が大きくなっており、
従来の不正が露呈しやすくなったとも言えます。
AIは税務会計業務に限らず業務の改善に有効な手段です。
他方、税務の不正を防ぐのはAIではなく経営判断次第
といった現状が続きそうです。
蛇足
「調査事績の概要」の内容が重要な関心事なわけですが、
形式面・見た目にも変化が感じられました。
前年(令和5事務年度分)はいかにも役所の報告といった体裁です。

まとまりは良いのですが、洗練されているデザインとは言えません。

令和6事務年度分ではグッと改善が進んだ印象です。

報告資料でもAIが活用されたのか?とちょっと気になりますね。
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