法人税の申告が難しいと感じる理由とは?
経営者の優先順位と役割分担
簡単にできる税金の申告はないというものの、
法人税のとっつきにくさはダントツかもしれません。
ややこしい会社の経営の税金の申告だから難しいでは
同義語反復です。
一歩踏み込んでみると税金以外の課題もみえてきます。
法人だもの 春から初夏も繁忙期
税理士にとっては4月も5月も繁忙期が続いていますとっても、
「?」という表情を返されることがあります。
個人の所得税や消費税の確定申告が3月で終了しているので、
4月以降は閑散期と思われがちです。
相続税を別にすると、個人の税務申告は「暦年」で固定されています。
1月1日から12月31日の間での所得税・消費税・贈与税を
翌年3月に申告する仕組みは納税者に共通しています。
他方、法人は決算月を決定も変更もできます。
事業の季節的な変動を織り込んで決算・申告が可能です。
とはいえ、3月決算・5月末申告の会社が目立ちます。
法人だもの 難しく感じる理由とは?
個人の確定申告では、納税者自身での申告も選択肢です。
事業者が自分で所得税・消費税の申告をすることは珍しくありません。
一方で、法人税の申告となると経営者が申告することは多くありません。
ややこしい会社の経営の法人税の申告だから難しいわけですが、
同義語反復でしかありません(笑)。
個人事業でも法人の経営でも、会計(決算)→税金(申告)の流れは同じです。
他方、個人事業では白色申告でも青色申告でも簡易簿記、
損益計算のみでの申告で済ませることもできます。
複式簿記で貸借対照表まで作成して青色申告特別控除65万円を利用する
といったことはできませんが選択肢となります。
事業の成果を所得税の申告書に反映させるといっても、
基本的には決算書から収入と所得の転記のみとなります。
事業が黒字で事業所得のみであれば、申告書は2枚のみです。
一方、法人の税務申告でも申告書は作成しますが、
- 会計処理と税務申告での処理が一致しないこともある
- 減価償却費や交際費など
- 申告書となる「別表」の構造がわかりにくく分量も多い
といった難点があります。
オーナー経営の法人であっても会社(法人)と経営者(個人)は別もの
という点でも会計処理は厳しくなります。
法人だもの 経営者の優先順位
経営者自ら法人税の申告書を作成する選択肢もあるものの、
- 決算・申告の処理が負担となる
- 毎年の税制改正に対応する必要がある
- 法人税の税務判断も抱え込むことになる
といった状況を継続することになります。
経営者といっても会計と税務申告を一手に引き受けるのではなく、
税理士のサポートで役割を分けることがおすすめです。
経営の業績や資金繰りの管理は経営者には必須となります。
法人税の申告処理がややこしいのは困りものですが、
メリハリをつける、優先順位をつけるきっかけになります。
蛇足
アイキャッチ画像は近所で撮影した写真です。
ぼんやりと春らしい「菜の花」だと思っていましたが、
Googleレンズ曰く「ノハラガラシ」だそうです。
お初にお目にかかりました(笑)。
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