インボイス制度導入は空騒ぎだったのか?
課税事業者対策は不滅です!
空飛ぶクルマは実用はともかく実現していますが、
タイムマシンは無理なんでしょうね。
とはいえ、ウェブで過去の情報を眺めてみると、
時代の雰囲気は遡れます。
予想と現実のギャップはタイムマシンがなしでも
振り返ることができます。
インボイス騒動 肩透かしで終了?
2023年(令和5年)9月は消費税インボイス制度導入直前であり、
税務会計業界だけでなく、事業者が不安を抱えていました。
フリーランスなど小規模事業者、消費税の免税事業者にとって
インボイス対応による負担が死活問題とも言われました。
また、インボイス対応により消費税の申告件数が増加して、
「消費税申告難民」や税務署が逼迫することも懸念されました。
他方で、2011年の「地上デジタル放送」開始でも同様の騒動があり、
空騒ぎで終結することも想定内だったとも言えます。
国税庁の公表データからインボイス制度導入後の動向を
振り返ってみます。
インボイス騒動 確定申告で振り返る
国税庁より令和5年分の確定申告状況について公表がありました。
消費税については、インボイス制度導入後の初めての確定申告であり、
前年以前との違いが際立っていました。
納税額の伸びが10%未満であるのに対して、
- 申告件数 197万2千件
- 対前年 91万7千件・86.9%増加
と大幅な課税事業者の増加が確認できました。
大幅に課税事業者が増加しつつも、申告手続が進んだ背景として、
「2割特例」の導入があるようです。
2割特例は事業内容を問わず、課税売上高の約2%を税負担する
といった経理と納税負担を緩和する選択肢です。
申告手続きでの大きな混乱が回避できた裏付けといえそうです。
課税事業者、とりわけ本則課税での対応している事業者は別にして、
小規模事業者でのインボイス制度導入は円滑に済んだ印象と移ります。
一方で、問題がないとは言えません。
インボイス騒動 課税事業者対策は不滅です!
消費税は所得税・法人税・相続税に比べてトラブルが多い税目です。
インボイス制度の導入と関係なく、という点が見逃せません。
インボイス制度導入時に免税事業者から課税事業者となった場合、
2割特例の選択が合理的かつ可能なケースが目立ちます。
経営動向や制度の変化がなければ、大過なさそうです。
とはいえ、そうした楽観的な期待はかえってトラブル要因となります。
負担減となっている2割特例にも制約があります。
- 個人事業であれば2026年(令和8年)まで
- 課税売上高1,000万円以下
2024年は1月より課税取引となっているため、税負担も増加します。
制度に大きな変化がなくとも、納税資金対策を加える必要もあります。
取引規模や事業内容に関わらず、
- 課税事業者となったら消費税対策は不滅!
という現実に向かい続ける必要があります。
消費税インボイス制度導入後の初めての確定申告が大過なく済んだことと、
課税事業者としてトラブルがなかったことは同一視できません。
課税事業者となった以上、取り組む課題が続いていきます。
蛇足
消費税の申告件数と納税額のアンバランスぶりが目立ちました。
2割特例がなくなるとどうなるのか?、といった懸念も
制度開始以降は具体的な課題になりますね。
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